【教職員の変形労働制とは】
1年単位の変形労働時間制は、長期休業期間等において、休日を集中して確保することを目的する場合に限り、適用される制度です。学校の仕事が忙しい時期に勤務時間を延長します。平日の拘束時間を延ばした替わりに、他の日に勤務をしなくてもよい時間が出来る制度で、これを休日とするものです。しかし、すべての時間外勤務が割り振りされるのではなく、割り振りできるのは、年間5日間(40時間)程度です。
2019年11月調査で45時間以上時間外勤務している教員が約55パーセント(高校教員)の結果から見ると、普段の年休でさえ長期休業中に取得しづらく平均取得率13日(H22調査)という状況下で、まとめ取りが、労働時間短縮と言えるものではありません。実施にあたっては、あらかじめの手続きで(30日前)に、勤務日ごとの勤務時間の指定が必要で、それを途中では変更できないものになっています。天候による行事の日程変更や生徒の突発的な対応、保護者との連絡など変更も必要なケースが出てくる中で、現実的にとは言えません。また、年休取得の場合も、変形して延びている時間分を時間年休の取得をする必要があり、1年を通しての変形労働制の導入により学校現場での労務管理の煩雑さは、困難をきたす事となります。
また現在、道立学校で出退勤記録管理システムが導入されています。業務量の適切な管理と健康福祉の確保が道教委(服務監督権)に求められているからです。2020年4月からの導入がされていますが、退勤の打刻をしてから業務を継続したり、退勤時間の指定をあらかじめ決めて、その指示通りの打刻がなされたりと、学校では様々な問題が見られています。道教委は、「在校等時間の上限については、決して、教員等に上限時間を遵守する事を求めるのみであってはならないこと、また、形式的に上限時間の範囲内とすることが目的化し、実際の時間より短い虚偽の時間を記録し、または記録させることがあってはならないことについて、周知・徹底してまいります。」と、回答しています。しかし、問題点は、しなければならない仕事量に対して配置されている教員の数が、足りていないからで、時間の上限だけを設けて、早く帰ることを促す事が、このようなことが起こしています。解決には、教員増と業務の軽減が必要で、いまの教員の業務のありのままを可視化する必要があります。2019年12月国会で1年単位の変形労働時間制を可能とする「給与特別法一部改正案」が可決しました。多くの問題点が指摘されながら、教師のリフレッシュ時間等の確保とか教職の魅力向上とか、教員のためと装い、この制度の導入スケジュールまでも押しつけすすめようとしています。
一年単位の変形労働時間制についての提案道教委予定案
北海道議会2020年 第4回定例会に条例案を提案する予定
公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の改定にともない、教育職員の休日を長期休業期間等において集中して確保することを目的とした1年単位の変形労働時間制の導入に関し必要な事項を定める条例案を提案する予定です。
条例で定める主な内容は下記となっている。
項 目 | 概 要 | |
勤務時間の割り振りの原則 | 対象期間を平均し1週間当たり38時間45分 | |
対象となる教育職員の範囲 | 公務の運営上の事情により特別の携帯によって勤務する必要がある者 | |
対象期間 | 4月1日から翌年3月31日までの範囲内で長期休業期間等を含む1月を超え1年以内 | |
特定期間 | 公務の運営上の事情によりやむを得ない期間 | |
勤務日 | 原則、月曜日から金曜日の5日間 | |
勤務日ごとの勤務時間 | 10時間を超えない範囲内の時間 |
公立の義務教育諸学校等の教育職員について、夏期冬期の長期休業期間等において連続して週休日を設けることを目的とする場合に限り、1月を超え1年以内の範囲で、通常の週休日及び勤務時間と異なる週休日及び勤務時間の割り振りが出来るよう特例を設ける。
施行2021年4月1日予定