Archives for 10月 2020
教職員の1年単位の変形労働時間制の問題点
【教職員の変形労働制とは】
1年単位の変形労働時間制は、長期休業期間等において、休日を集中して確保することを目的する場合に限り、適用される制度です。学校の仕事が忙しい時期に勤務時間を延長します。平日の拘束時間を延ばした替わりに、他の日に勤務をしなくてもよい時間が出来る制度で、これを休日とするものです。しかし、すべての時間外勤務が割り振りされるのではなく、割り振りできるのは、年間5日間(40時間)程度です。
2019年11月調査で45時間以上時間外勤務している教員が約55パーセント(高校教員)の結果から見ると、普段の年休でさえ長期休業中に取得しづらく平均取得率13日(H22調査)という状況下で、まとめ取りが、労働時間短縮と言えるものではありません。実施にあたっては、あらかじめの手続きで(30日前)に、勤務日ごとの勤務時間の指定が必要で、それを途中では変更できないものになっています。天候による行事の日程変更や生徒の突発的な対応、保護者との連絡など変更も必要なケースが出てくる中で、現実的にとは言えません。また、年休取得の場合も、変形して延びている時間分を時間年休の取得をする必要があり、1年を通しての変形労働制の導入により学校現場での労務管理の煩雑さは、困難をきたす事となります。
また現在、道立学校で出退勤記録管理システムが導入されています。業務量の適切な管理と健康福祉の確保が道教委(服務監督権)に求められているからです。2020年4月からの導入がされていますが、退勤の打刻をしてから業務を継続したり、退勤時間の指定をあらかじめ決めて、その指示通りの打刻がなされたりと、学校では様々な問題が見られています。道教委は、「在校等時間の上限については、決して、教員等に上限時間を遵守する事を求めるのみであってはならないこと、また、形式的に上限時間の範囲内とすることが目的化し、実際の時間より短い虚偽の時間を記録し、または記録させることがあってはならないことについて、周知・徹底してまいります。」と、回答しています。しかし、問題点は、しなければならない仕事量に対して配置されている教員の数が、足りていないからで、時間の上限だけを設けて、早く帰ることを促す事が、このようなことが起こしています。解決には、教員増と業務の軽減が必要で、いまの教員の業務のありのままを可視化する必要があります。2019年12月国会で1年単位の変形労働時間制を可能とする「給与特別法一部改正案」が可決しました。多くの問題点が指摘されながら、教師のリフレッシュ時間等の確保とか教職の魅力向上とか、教員のためと装い、この制度の導入スケジュールまでも押しつけすすめようとしています。
一年単位の変形労働時間制についての提案道教委予定案
北海道議会2020年 第4回定例会に条例案を提案する予定
公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の改定にともない、教育職員の休日を長期休業期間等において集中して確保することを目的とした1年単位の変形労働時間制の導入に関し必要な事項を定める条例案を提案する予定です。
条例で定める主な内容は下記となっている。
項 目 | 概 要 | |
勤務時間の割り振りの原則 | 対象期間を平均し1週間当たり38時間45分 | |
対象となる教育職員の範囲 | 公務の運営上の事情により特別の携帯によって勤務する必要がある者 | |
対象期間 | 4月1日から翌年3月31日までの範囲内で長期休業期間等を含む1月を超え1年以内 | |
特定期間 | 公務の運営上の事情によりやむを得ない期間 | |
勤務日 | 原則、月曜日から金曜日の5日間 | |
勤務日ごとの勤務時間 | 10時間を超えない範囲内の時間 |
公立の義務教育諸学校等の教育職員について、夏期冬期の長期休業期間等において連続して週休日を設けることを目的とする場合に限り、1月を超え1年以内の範囲で、通常の週休日及び勤務時間と異なる週休日及び勤務時間の割り振りが出来るよう特例を設ける。
施行2021年4月1日予定
2020年10月11日号 はっらっ道政レポート333号
就学援助の対象拡大・充実、なお一層の努力を求める
第3回定例会予算特別委員会 就学援助
卒業アルバムが対象となるなど入学準備金の入学前の支給広がる
2020年9月29日 第3回定例会予算特別委員会で、真下紀子議員は就学援助の対象拡大について質問を行いました。
道内各自治体が就学援助の対象拡大し、クラブ活動費・生徒会費・PTA会費と卒業アルバムを対象とする市町村が増加しています。道内約8割の市町村で新入学前に学用品費を支給していることが真下道議の質問で明らかになりました。
今年10月から引き下げられる生活保護基準が、要保護児童生徒に準じる就学援助基準が、生活保護基準引き下げの影響を受けないよう各市町村が対応していると、道教委が回答しています。生活保護の教育扶助に準じているものの、2019年度から新たに国庫補助の対象となった卒業アルバム代、対象だったクラブ活動費、生徒会費、PTA会費の四費目が、市町村によっては対象外となっています。
さらに、真下議員は、2016年度から2019年度までの就学援助基準の状況を質問し、三または四費目を就学援助基準の対象としているのは96自治体から130自治体に増加している事がわかりました。卒業アルバム代・クラブ活動費・生徒会費・PTA会費いずれも対象としていない市町村は52から26に減少している事もわかりました。
入学前に新入学学用品費の支給を行った小学校・中学校は、2018年度約半数にとどまっていましたが、現在8割(小学校78.2%、中学校79.3%)に届くところに拡大されており、全国平均より高くなりました。真下議員は一層の充実を求める質問を行いました。
2020.10.5 しんぶん赤旗
危険な放射性廃棄物処分
【危険な放射性廃棄物処分】
後志管内神恵内村と寿都町が、放射性廃棄物の最終処分場選定にむけた文献調査※説明1への応募検討の動きが急になっています。北海道の神恵内村と寿都町が、国の選定プロセスに応募する方針を固め2町村長が10月8日にも表明する予定。
※説明1 「文献調査」は、資源エネルギー庁と原子力発電環境整機構により、全国で開催の「対話型全国説明会」で、最終処分事業について関心を示す市町村に、住民が事業の議論する資料として全国規模の文献やデータ・地域固有の文献・データの分析結果などが知らされるステップの事で。「対話活動の一環」と位置づけられています。
文献調査は最終処分場選定の入り口です。最終処分を計画的・確実に進めるためと法律に明記され、経済産業大臣はそのための方針と計画を作ることになっています。
これまで、寿都町長が言うような、交付金だけ受け取って、最終処分場は受け入れないという結論もあり得るような選択肢は出来ない仕組みになっています。核のごみは、原発から出る使用済み燃料を再処理した後の、放射能が非常に高い※説明2ものです。
※説明2 高レベル放射性廃棄物 原子力発電から発生する使用済み燃料は、非常に高い放射能があり、その中の放射能の高い部分を再処理施設で化学的な処理を行い、ガラスで固めたものる。(ガラス固化体)を高レベル放射性廃棄物と言います。現在再処理する前の段階で、貯蔵中で約25,000本のガラス固化体に相当する量がある。