温泉に導入されたのはスイスのシュミット製木質ボイラー、550キロワット。
下川町や和寒町と同型。温泉、保養センター、ふるさと館、高齢者センターの加温、施設の給湯・暖房など4系統へ供給しています。
これまで重油購入は3年平均2500万円、木質チップ購入代は2000万円、単純に差し引くと域内収支は4500万円も増加することになります。石油燃料販売業者には運搬・供給を担ってもらうことで共存が配慮されています。町財政、地域経済への効果が期待されています。
燃焼によって新たに生じる灰は、廃棄物として処理しなければならないが、成分分析を行って、肥料や融雪剤などの有価物に転換できるのかが検討されています。こうした循環が確立すれば、エネルギーと経済の域内循環が一体となって進むことになります。
道北上川は道内の木質バイオマス37%のシェアで、道内随一の地域である。各市町村が触発されながら地域資源を探し、地域の振興をはかる取り組みが進んでいます。
安定供給と地域振興の見通し
搬出された材は、専用の原木ヤード、燃料チップヤードに保管されています。原木ヤードの保管量は1600立法で、約18か月分の在庫を有しています。燃焼効率の高い原料にするため保管中に含水量を減らす必要があるります。
原木ヤードには暗渠が敷かれ、わずかに傾斜した浸水性の高い舗装が敷かれています。町から1300万円の補助を受けて実現した。
これまでは土場に直接おいていたが、各段に乾燥しやすくなり、含水量30%の効率の高いチップを生産することができるようになっています。
びふか温泉で使う月約200立方のチップ生産を担う美深林産協同組合の梶田理事は、「暗渠と舗装で適切な乾燥状態にできます。美深温泉への供給も順調」と笑顔を見せました。笑顔の背景には、道有林の活用で安定供給と安定造林という将来への見通しがあります。
青年の展望が見えてくる
生産現場となっている道有林では、幅状間伐が行われている。地元の林業者がハ―ベスタ―、フェラーバンチャ、グラップルソーという高度重機を使って、これまでは林地に放置せざるを得なかった低質材まで搬出できるようにしています。
未利用材は各段に減少し、効率を高めている。機械による間伐でチェーンソー伐採よりも労災が減少し、労働者の安全も確保されるように変わってきています。半面、高額なため、売却益の増加が求められています。
従事している5人のうち、30代は3人。定着率はいいが、新規参入が少ないのが課題という現場責任者の社長は、街づくりにも力を入れる笑顔の好青年でした。
搬出用林道は、砂利敷きで幅も狭い。熟練の運転技術を持つ業者が、6トンから8トンの大型トラックで、年中搬出を可能としている。作業場となっている作業現場では、方向転換するところがぬかるみとなっており、ここまでの砂利入れが必要と要望を受けました。
チョウザメの町、美深町の木質バイオマスの取り組み
1983年からチョウザメ要職にとりくんでいる美深町。明治時代までは天塩川に1.5㍍から2㍍を超える巨大なチョウザメが生息し、魚肉とキャビアは貴重な食糧となっていました。 松浦武四郎が乗った丸木船を立ち泳ぎするチョウザメが出迎え、さぞや「どってんこいた」といわれています。 約9割を森林が占めている美深町は、地域資源を生かした木質バイオマスの活用にとりくみ、重油使用の多いびふか温泉に木質ボイラーを設置した。安定した原料を供給するため、林業安定化対策推進協議会を立ち上げて原料調達を検討、森林の5割を占める道有林との間で「木質バイオマス原料の安定供給に関する協定」を結び、燃料材の安定供給を図っています。
|