道教委 家庭に責任・ジェンダーバイアス普及
家庭教育に介入するハンドブック見直しへ
2022年10月5日の道議会予算特別委員会
真下紀子議員は、道教委が作成、保護者等への学習資料として普及しているハンドブックの内容が、家庭教育に特定の価値観を押し付け、ジェンダーイコリティに反すると追及し、道教育長がハンドブックの見直しを表明しました。
教育基本法では、家庭の自主性を尊重し、国家や権力が家庭教育に介入してはならない(DVや児童虐待などの犯罪は例外)と定めています。法の趣旨をただした質問に、道教委社会教育課は、「教育基本法は家庭教育の自主性を尊重しつつ、教育行政は、学習の機会及び情報の提供、必要な施策を講じるようと努めなければならないと定められており、相談や学ぶ環境の整備が重要」と答弁しました。
YouTube動画 予算特別委員会 教育委員会所管 家庭教育支援について
家庭教育支援・子育て支援関係者用として道教委が作成し、HPで公開・普及している学習資料「家庭教育ナビゲーターのためのハンドブック」(2015年作成) を例示した真下紀子道議は、「特定の価値観を押し付ける内容が随所にみられ、統一協会の推進する家庭教育支援と似ている」と指摘しました。
「ドロシーおばさんの魔法の言葉」では、「親を見て子供は育つ」「子は親の鏡」という考え方がいくつも例示され、公教育の責任を放棄し、家庭に責任を負わせる価値観が持ちこまれていると指摘。また、ハンドブックでは、「ひとり親の場合、子どもは『いつも大変だな』『大きくなったら楽にさせてあげなきゃ』と考える」と、大人がこうあってほしいという価値観を押し付けています。
下記は参考資料: 北海道教育委員会のHP 家庭教育ナビゲーターのためのハンドブックから抜粋
第2部子育て意識 5ページ、6ページ
「何より驚いたのは、お父さんの役目は、お母さんが赤ちゃんとの世界を楽しめるように、お母さんを支えてあげることという記載」だと指摘した真下議員。ジェンダーバイアスがかかった価値観を長きにわたって普及してきた道教委の責任を追及。今回の議論を契機に見直すよう求めました。
道教委は、家庭教育関係者で構成された検討委員会で検討したものであり、厚労省の資料などを参考にしたと言い訳しましたが、真下道議は、文科省は1994年に子どもの権利条約の周知を求めていたと指摘しました。道教委は「教育基本法や子どもの権利条約も踏まえて対応する」と答えざるを得なくなり、倉本博史教育長がハンドブックを見直すと表明しました。
※参考資料 : 家庭教育ナビゲーターのためのハンドブック 「第3部幼児期のこどもをもつ保護者のため学習資料」
※リンク資料 第3部幼児期のこどもをもつ保護者のための学習資料リンク先に移動します。
子どもが育つために必要な「遊び」の記載もなく、身体や発達・精神の障害、健康を害している人達への配慮も見受けられません。漫画では、ゲームに誘われる子どもの気持ちをモンスターと表現し、やっつけることを目的にしています。体調やホルモンの影響を大きく受ける「困った心情や行動」をとる子どもの気持ちを聞くのではなく、気持ちを否定してしまっています。
真下道議は、質問の中で、ユネスコの「国際セクシャリティ教育ガイダンス」を紹介し、このガイダンスは自主的なもので、人間関係、価値観、人権、文化、セクシャリティジェンダーの理解、暴力と安全確保、健康とウエルビーイングのためのスキル、人間の体と発達、セクシャリティと性的行動、性と生殖に関する健康をキーコンセプトに、知識、態度、スキルを基盤とした学習目標で構成されています。国際的な科学的根拠や実践に基づいて、それぞれの国の多様性を認めています。新たな教育計画では、自立と共生、多様性と持続可能性が明記されていますが、こうした国際的な動向をしっかり把握し、強制ではない家庭教育、子どもが自ら選択していくことのできる環境を提供することがこれからは求められるものと考えます。
参考資料 : 2022年10月6日現在、北海道教育委員会HPから削除済みの「家庭教育ナビゲーターのためのハンドブック」の一部抜粋
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