遺伝子組み換え株付き胡蝶蘭
道「GM条例」観賞用作物除外を提案
北海道は、BSE(牛海綿状脳症)※2の発生や食品偽装などを経て、遺伝子組み換え作物の交雑等の防止に関する条例、いわゆるGM条例※1を策定しています。そのため、国が許可したトウモロコシや大豆、菜種などの遺伝子組み換え作物は、いずれも道内では開放系栽培はされていません。
※1(北海道GM条例) 遺伝子組換え作物の栽培等による交雑等防止条例 通称
※2(BSE)牛海綿状脳症は、牛の病気の一つで、BSEプリオンと呼ばれる病原体に牛が感染した場合、牛の脳の組織がスポンジ状になり異常行動、運動失調などを示し死亡する。
観賞用のバラやカーネーションは切り花として道内に入っていますが、今回問題となったのは、遺伝子組換えの株付き胡蝶蘭が開発されたためです。株付きの栽培作物であるため、GM条例の対象となり、家庭での観賞用であっても知事への申請、近隣住民への説明会、手数料の支払いが必要となります。
道は、条例制定当時は想定されていなかったとして、食用と飼料用以外の作物を条例の対象外とする改正案を第2回定例道議会に提案予定です。
食と観光特別委員会で、真下紀子道議は、2022年5月11日、日本では、菜の花や食用菊、食用ユリ等花を食用とする文化・習慣があり、昨今注目されているエディブルフラワーは、自家栽培も可能な植物で、「花」をすべて観賞用と、とらえることは、除外対象が秩序なく広がる可能性があると指摘しました。
食用とされない厳密な規定や、GM条例の対象外とした場合の影響の検証される必要性や、栽培・増殖・拡散が行われないのかなど、数々の疑問に答える必要があると質問しています。
道農政部食の安全推進局は、道民意識調査などでは、7割弱の道民が遺伝子組み換え食品安全性や栽培に不安、試験研究を進めるべきは8割近いと答えました。
真下道議が、研究開発と実用化は全く違い、試験研究には賛成でも実用化に賛成の声がどれだけあるのかという質問に、実用化についての道民意識調査は明確に応えられませんでした。
また国が影響はないとした生物多様性への影響や栽培・花粉の飛散などが起きないとする検証データを、道は持ち合わせていないこともわかりました。また、遺伝子組み換え作物であっても観賞用として除外した花が食用として承認されればGM条例の対象となると答えるにとどまり、食用とされることはないとは言い切れませんでした。
真下道議は、消費者の選択権を保障すること、生産・栽培事業者や個人愛好家などにも意見を聞くことが必要とのべ、GM条例がなし崩しに後退しないよう、安全性の科学的検証に基づく慎重な対応を求めました。