道議会環境生活委員会で質問
小型船の安全対策として不安定な携帯電話は法定無線設備から除外されていること、知床の生態系生態相への影響も調査されていないと指摘。太陽光パネル264枚、ケーブル埋設のため掘り起こし、作業道なども作られ、オジロワシなどはの影響が懸念されています。2024年6 月7日に知床世界自然遺産地域科学委員会を開催し、基地局整備の影響などを議論するため、道議会議論も提供するよう求めたところ認められました。
知床携帯基地局工事に反対
2022年に起きた知床遊覧船事故を契機に、総務省は安全確保を目的にして知床岬に携帯基地局設置を決定しました。
工事は太陽光パネル264枚(敷地約7千平方メートル)、2キロに及ぶケーブル類の埋設工事、作業路などで使われる総工事面積が2万6千㎡に及び、事業費は約9億円(うち約4400万円は補助金)
2024年6月4日(火)環境生活委員会で真下紀子道議は工事の中止を求めて質問しました。
原始の自然多様な生態系残すことが使命ではないのか
世界自然遺産としての価値を表明。生態相・生態系の調査ない環境アセスメントの対象となる規模ではないとして、事業者が実施した調査は1日のみ。作業道を盛り掘り返すのに、生物相への影響調査もしていないことを問題視しました。
国立公園の特別保護地区であり、環境アセスの対象とならなくても、生物相や生態系への影響調査は必須のエリアです。環境省の調査を道は把握しているのか質問しています。
携帯は安全対策の強化にならず、遊覧船事故は法定無線を装備せず、携帯で代用していたため連絡が取れなくなっており、携帯通信は不安定なため法定無線から除外されており安全性が向上するとはいえない。
北海道自然保護協会は6月5日、国の天然記念物オジロワシの営巣記録があったことなどを理由に「絶対に反対」を表明しています。
真下議員は、6月6日の道議会質問の内容を地域科学委員会に伝えるよう要請しました。道は公開されている議論であり、伝えることを約束しました。
環境省の誤訳発覚の問題
知床世界自然遺産地域科学委員会で、環境省によるユネスコの作業指針の誤訳が発覚しています。環境省はソーラーパネル設置工事が「大規模な新規工事」ではなく、報告を要さない程度の小規模であるとして工事を許可していました。ところが、作業指針には、「独自の生態系と生物多様性からなる「顕著な普遍的価値」に影響を与えうるような「新規工事」について、規模の大小にかかわらず、事前に世界遺産委員会に報告し、同委から「普遍的価値」が完全に保全されるための適切な支援を受けるべき」と定められていて、環境省は独自解釈で、報告のいらない小規模工事と主張していました。そのため、工事を中断し、調査することになりました。