北海道のヒグマ対策
北海道では、市街地にもヒグマの出没が頻繁となり、2023年5月14日には朱鞠内湖畔で釣り人が死亡する痛ましい被害が出ました。2021年は1056頭が駆除されましたが、ヒグマの生息推計数は2020年度過去最多の11,700頭、農業被害は2億6千万円に急増しています。道は、2022年4月から5年間の第2期ヒグマ管理計画を策定し、春季管理捕獲を開始しましたが、軋轢は軽減されていません。
真下紀子道議は2023年6月6日の環境生活委員会で、ヒグマ対策について質問しました。朱鞠内湖では5月9日にヒグマが目撃され、釣り客の案内を中止していたNPO法人は、道や幌加内町に情報提供せず、5月14日に法人の判断で釣り場に移送し、被害が起きました。
真下道議は、立ち入り禁止の判断など地域版実施計画上の対応を質問したところ、道は、朱鞠内湖のある上川地域の実施計画は調整中だと回答があり、出来ていないことがわかりました。
真下道議は、地域実施計画に基づく情報共有や立ち入り禁止などができていれば対応が違ったのではないかとのべ、早期策定を求めました。立ち入り禁止などの措置は、管理や運営者が行うこととされていますが、管理運営に複数が関与している場合、責任の所在は明確になりません。
真下道議は、実効ある措置をとるためにすべての振興局で地域実施計画の早期策定、市町村の対策方針・指針の策定は必須と指摘しました。加納孝之環境生活部長は、「最新のヒグマの生息状況や生態なども踏まえ、昨年3月に改定した管理計画に沿い着実に取組を進めていく」と答えました。
真下道議は、精度の高い生態調査の実施や予期せぬ遭遇の未然防止策が急がれると提案しました。
市街地への侵入防止対策のために電気柵や自動撮影カメラなどへの助成や専門人材の育成を求めました。道は、すべての振興局での地域版実施計画を早期の策定、机上研修に加えた現地研修を加えると表明し、地域の人材育成や関係機関相互の連携を強化し、生息実態の更なる把握や、地域の実状を考慮した「ゾーニング管理」、ヒグマに関する正しい知識の普及などヒグマとの共存できるように取り組むと答えました。
2023.6.11しんぶん赤旗