2015年12月に策定された日本海漁業振興方針に基づき、5年間で生産量が半減した 後志・桧山地区をモデルに即効性のある確実な対策を推進する振興方策がとられています。短期間で計画的に安定した水揚げが見込める「養殖業」、「未利用・ 低利用資源の有効活用」、「漁場の有効活用」を3本柱としています。真下紀子道議と菊地葉子道議は、漁港等を活用した漁業振興のとりくみについて関係者か ら意見を伺い、課題整理、支援等について調査、意見交換を行いました。
魚種・漁法でリスク分散
ひやま漁協では、「助宗タラの輸送技術がよくなって、韓国では高値で販売できていたが、東電の原発事故による風評被害、韓国の輸入規制で、今も大きな影響が続いている。
海面が狭いため、ナマコのように付加価値の高いものでカバーしなければならない」と、養殖にとりくんだいきさつを伺いました。ナマコの採卵による種苗ま でとりくみ、着床のためのカゴなどは代用品を活用するなど、費用を節約しながらとりくんできました。
「漁業者に配当金を出し、自立できるようにしていきたい。加工施設ができれば、付加価値は一層高まる」と、ナマコに対する意気込みを語っていました。効 率だけを追うのではなく、漁船漁業による助宗タラの漁獲減少を養殖で補い、多魚種でリスクを分散、全員参加で手間をかける漁業をめざしています。
しかし、こうした努力に水を差すのが「密漁」、打撃は深刻です。密漁監視の強化、監視カメラの設置などへの支援はもちろんですが、北海道の条例などでルールをつくれないか、など切実な要請を受けました。
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アワビ養殖も軌道に
北海道栽培漁業公社が運営する熊石アワビセンターでは、1ミリ2円と言われるアワビの種苗を30ミリまで育成。隣接する漁港の中間育成施設で50ミリま で大きくした後、65ミリ以上の成貝までをさらに沖合の養殖施設で育成。
大きさによって設備が違うため、育成段階に応じた施設で、効率よく育成しています。陸上の飼育では水温を上げるために温泉水を活用していますが、昨年は 急な低水温で対応しきれず、30万個がダメになったという苦い経験もありますが、熊石アワビセンターでは通常は100万個の種苗提供体制が整っています。
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海洋深層水も活用
原発立地交付金で設置された岩内町の海洋深層水サポートセンター。水産加工や食品加工、化粧品などにも利用対象を広げています。
岩内港では道総研の行うウニ養殖モデル事業に町が参加。かけ流しの水槽には馬糞ウニよりも高価格と言われる紫ウニ。採取時期と出荷時期をずらして出荷する ことでさらに付加価値を高める狙いです。高価格帯の消費地へ出荷できるように、増量をめざしています。