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企業誘致補助金を受けた道内企業への社会的な責任を求めます
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日本共産党 国会調査団  .
日本共産党 北海道委員会 
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日本共産党   参議院議員  
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紙   智子  .
日本共産党 道議会議員団  
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花岡ユリ子  
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真下 紀子  
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 場   所 北海道苫小牧市
 日   程 2008年12月15日
 
 調査企業 トヨタ自動車北海道株式会社、
        いすゞエンジン製造北海道株式会社
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【企業の社会的な責任を果たさせ、雇用を守りましょう】

 日本の大企業が史上最高の利益を上げてきた、2003年3月期から2008年3月期までの大企業(資本金10億円以上)の経常利益は106兆円です。大企業繁栄の中で、働く人々の中にワーキングプァという言葉が生まれました。大企業の繁栄は、このようなワーキングプアといわれる、期間工や派遣労働者などの非正規労働者が支えてきたからです。多くの企業が過大な利益を上げながら、働く人々を雇い止めしたり、派遣切りしたりする事が許されるのでしょうか。これら大企業は、身勝手な雇用調整などせずに、社会的な責任を果たす必要があります。
 


トヨタ自動車北海道株式会社   調査内容
                          

                                 対応者 近藤取締役、総務部3名    

【企業状況】
トヨタグループ全体の内部留保      9.9兆円
トヨタ自動車北海道  経常利益    387億円
(5年間)

              全従業員       3,500人体制
              準社員(期間社員) 1,300人
              派遣社員       約 50人

【派遣契約者と契約期間】
派遣契約が2年11ヶ月

        派遣労働などで、3年の雇用があった場合、正社員としての採用する努力義務がありますが、トヨタ自動車では、派遣労働者・期間工を2年11ヶ月で雇い止めし、この契約満了以降の契約更新を行わないようにしています。
 
 トヨタ自動車は、契約更新を行わないことで、新たに労働者を募集し、新規雇用をする仕組みとしていることになります。このような雇用方法が企業として、社会的責任を果たしていると言えるのでしょうか。

 トヨタ自動車北海道は、苫小牧市に企業進出の際に、道から補助金として9億円の企業立地補助金が交付されています。関連企業のアイシン北海道に3.4億円、ダイナックスにも2億円が交付されており、トヨタ自動車の企業姿勢は多くの企業に影響を与える可能性があります。労働契約法を守る姿勢を世界に誇る大企業トヨタ関連企業として、社会に見せてゆく責任があるのではないでしょうか。


紙参議
「労働契約法に照らして、問題のないように契約がされているのか説明いただきたい。」

近藤取締役
「これまでも最長2年11ヶ月での契約期間満了以降の更新は行わず期間をおいて新規雇用する。
適法に行っている」、来年も「更新しない。淡々と退職・退寮することになる。」

紙参議
「トップ企業として雇用を守る社会的責任を果たすべきではないか。」



【企業の利益と責任】
 トヨタ系6社で見ると、人員削減計画10,460人が発表されました。トヨタ6社の経常利益を見ると9,000億円で、株式配当は、(2000年9月から2008年9月まで)約5倍に増えており、株主配当は2,400億円、内部留保は17兆4,000億円あります。10,460人の雇用を確保には3000億円もあれば可能で内部留保の0.2%を取り崩せばできます。

 トヨタ自動車だけで見ると、解雇予定3,000人を発表しましたが、この3,000人分は年間90億円は、トヨタの営業利益(連結予想)6,000億円の1.5%を拠出すればこれらの労働者の雇用継続は可能です。また、90億円とはトヨタ創設者の2人の株式配当(22億円)の4年分でしかなく、いかにワーキングプアと言われる労働者の陰で一部の人間が利益を得ているのかもわかります。

 武藤敏郎大和総研理事長は、こう述べています。 「日本は、これまで、米国を模範にしてやってきた」「しかしいま、お手本だった米国自体が変わろうとしている。日本も、米国に追随するだけの政策は変更を余儀なくされると思うが、まだギアチェンジができていない」。「欧州のように、公的部門が雇用や社会保障でそこそこ力を発揮するモデルに収斂していくような気がする」(紺色部分朝日2008.11.7付)ここでの欧州モデルとは、雇用や社会保障にたいする「企業の社会的責任」を明確にすることです。

 日本の財界・大企業の経営者は、労働者・国民の労働実態や生活実態の苦しみがまったく見えなくなっています。自らの繁栄に目がくらみ、現実に累積している矛盾が見えなくなっているのでしょう。長期的な視点を見失っていると言えます。いすゞ自動車では、解雇通告を受けた期間・派遣社員が労働組合を結成しました。この勇気ある行動により、どれほど全国にいる非正規労働者が励まされることでしょう。


                  テレビ朝日サンデープロジェクト 日本共産党 志位和夫委員長出演時の発言からの要約
                  しんぶん赤旗2008.12.12の「経済時評」目を覚ませ、財界・経営者からの引用


しんぶん赤旗 2008.12.16
                                                  しんぶん赤旗 2008.11.7








いすゞエンジン製造北海道(株)   調査内容
                                       対応者  福岡静夫総務部長

【企業状況】
いすゞ自動車          経常利益予想 600億円
(来年3月期)
いすゞエンジン製造北海道  経常利益    ○○億円
(○年間)

              派遣社員         200人

           ※すでに6月〜11月で160人解雇
                残り40人も12月26日まで

【この間の企業姿勢】
 いすゞエンジン製造北海道は、5月までは200人の派遣社員を雇用していましたが、6月から11月の間に、160人の派遣社員を契約を解除しました。現在40人の派遣社員がいますが、この40人についても、来年3月までの契約期間がありながら、この12月26日をもって、契約を途中解除を打ち出しました。いすゞエンジン製造北海道は、この雇用調整計画に変わりがないと話していますが、「労働契約法」で示されている途中解除せざるえない「やむを得ない事由」に該当するものはなく、違法性の高い、途中解雇となっています。
 いすゞエンジン製造北海道は、これまでに削減した160人の派遣社員の大部分(130人)が中途契約解除と認めました。来年3月末が契約期限の40人も中途解除であり、法令上「期間社員や派遣社員」に対しての有期の契約は、正社員の解雇時よりも厳しく守る必要があることが政府の公式答弁で出されていることを示し、契約満了まで働けるようすべきである申し入れました。福岡総務部長は、「後日お答えしたい」と回答しました。

真下道議
「途中解除は、派遣先のいすゞの都合だ。中途解除は許されない。撤回すべき」

福岡総務部長
「撤回は難しい」

真下道議

「年の瀬の途中解除はやめるべきである。」

真下道議

「グループ内で検討すべき。少なくとも退寮に猶予期間をとるべき」

紙智子参議
「やむを得ない事由」はあるのか。派遣や期間社員の有期契約は、無期契約の
解雇権乱用法理よりも狭くなるというのが政府の公式答弁です。」
「契約期間まで働けるようにすべきである。」

福岡総務部長

「後日、回答させて頂きたい。」



両社とも減産による削減計画について言及を避けましたが、今後、雇用削減がいっそう心配されます。



     .  いすゞ自動車は、1400人の期間社員・派遣社員の全員解雇を打ち出しました。いすゞエンジン製造北海道も、これにならった解雇処置を打ち出したのでしょう。いすゞエンジン製造北海道は、200人の派遣社員を契約を解除しました。報道では、「自己都合退職が70人、契約解除が130人」と発表されましたが、実際には、神奈川・栃木への出向を命じられて断らざる得なかった退職も数多く、このような会社都合の退職を、自己都合退職として発表しています。いすゞエンジン製造(株)の11月26日の200人解雇発表の際には、すでに約150人は、苫小牧からいなくなった後でした。現在40人の派遣社員がいますが、この40人についても12月26日をもって契約解除となります。

 国会でも取り上げられたように、いすゞは来年3月期の経常利益予想は、600億円で、今期17億円も配当を増やしています。派遣社員の途中契約解除をしながら、株主配当は増やす。そのような状況で、「労働契約法」の「やむおえない事由」に解雇があたるのでしょうか。11月の社内報で会長が、「再建以降のの5年間で増収増益で毎年過去最高を更新している。」と説明しています。

 国会で桝添厚労相が「経済団体全体が法の精神に基づいて、対応するように要請する」と答弁しましたが、小池参議院に指摘されているように、大量解雇をやめさせ、大企業に社会的責任を果たさせるように求め、再就職の斡旋と再就職までの住居、生活の保障をさせるべきでしょう。いすゞエンジン製造北海道にも、トヨタ自動車北海道同様に10億円近い企業立地補助金が交付されています。いすゞエンジン製造北海道は、道民にこたえられるよう社会的責任を果たしてもらいたいものです。

 

しんぶん赤旗 2008.12.10  .