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  2010年度北海道道議会予算案
  北海道 道議会一般会計予算案と高校授業料
   3月11日本会議質問、12日〜19日予算特別委員会で

高校授業料無償化と公立高校・私立高校格差是正と、その他の課題
高校授業料無償化による幾つかの課題点 2010年度予算案

【高校授業料無償化と公立高校・私立高校格差是正を考える】

 私立高校生の「就学支援費補助」の道の予算案
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@年収350万円以上の世帯には、公立と同額の約月1万円を「基準金額」として補助
A年収250万円〜350万円の世帯には基準金額の1.5倍を補助
B年収250万円未満の世帯には基準額の2倍を補助
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 それぞれ、年収に応じて支給されます。さらにAとBには、道費から月約1万円が
加算されます。道内私立高校の年間授業料は平均約30万円、@の年収350万円の
家庭では、道費の補助がなく、授業料の負担が年18万円程度になります。

 私学授業料平均55万円の大阪府では、府費で年収500万円未満の家庭まで助成
します。年収350万円までは無償、年収350万円〜430万円までは保護者負担16
万円程度、430万円〜500万円では26万円程度の負担に押さえる方針です。道の
補助では「公私格差是正の」解決すべき課題が残りました。

 また、16歳〜18歳の特定扶養控除の上乗せ部分が廃止され、授業料が月2,700円
年間32,400円と、もともと授業料が安かったの定時制・通信制高校へ通よう生徒の
家庭の多くは負担増となります。これは、もともと授業料無料であった特別支援学校
(高等部)に通よう生徒の家庭も同様です。

【特定扶養控除】
  所得税額を算出する際に、特定扶養親族(16歳以上23歳未満)の人数に
  応じた金額(1人あたり63万円、住民税は45万円)を差し引くことができる
  もの。

  特定扶養控除は、16歳から22歳で税制上の扶養対象であれば学生かどうか
  関係ない制度です。そのため、単純に高校授業料の無償化と連動させれば、
  一部に負担増となる矛盾が発生するものです。
  定時制・通信制の高校や特別支援学校など学費が安い場合や、公立高校の
  授業料減免をすでに受けている場合(2008年度実績約23万人)では負担増
  となるケースもあります。公立高校の定時制で年間授業料が3.3万円程度だ
  とすると全ての収入階層で負担増となるのです。

  所得控除が、圧縮されれば、その分だけ課税される所得が増えるため所得税
  が増税されることになります。

  このような世帯には「適切な対応を検討する」と政府は言います。しかし、
  今の時点では何ら具体的な対策は示されていません。




             東京都の場合の授業料の無償化と負担増

   .

 民主党は先の総選挙のマニフェスト(政権公約)に「高校は実質無償化」を掲げました。その財源として、政府税制調査会(会長・藤井裕久財務相)で検討されているのが、2010年度税制「改正」による特定扶養控除の縮小です。特定扶養控除のうち16歳から18歳までについて、所得税の控除は現行63万円を38万円まで圧縮し、住民税の控除も現行45万円を33万円まで圧縮する案です。中川正春文部科学副大臣が政府税調全体会合で提案し、特に異論は出されませんでした。

 特定扶養控除の縮小は大きな影響を与えます。例えば、東京23区在住で、現在都立高校の授業料が免除されているサラリーマン3人家族(年収300万円、妻は専業主婦、子ども16歳)の場合、高校授業料が「実質無償化」されてもその恩恵はありません。ところが、所得税・住民税の特定扶養控除が縮小されると、両税合わせて年3万1000円程度の増税となる可能性があるのです。








1 平成21年度北海道における授業料が免除になる例
 @ 地震、水害、台風、冷害等の災害に遭い、授業料の納付が困難な家庭
 A その他経済的事情のある家庭
      ・主要所得者(生計を維持している者)の死亡、病気、失職等
      ・同一生計者に療養により多額の出費を要する者がいる  
      ・家庭の生活状況が極めて困窮している など      
 @かAのいずれかに該当し、かつ、次のいずれかに該当する場合
    ア 給与所得者:世帯全員の「年間総収入」が「年間生活所要額」を下回る。
    イ 事業所得者:平成21年度市町村民税の「所得割」が課税されていない。
    ウ 同一世帯に給与所得と事業所得の両方がある場合は、事業所得が所得割非課税で、
     かつ、事業所得と給与収入の合計額が年間生活所要額を下回る場合。

※「年間総収入」…生計を同じくする世帯全員の賃金、給与、手当、失業給付、恩給、年金、利息収入等の合計金額です(主要所得者でない祖父母の恩給、年金は除きます)。また、原則としては前年(1〜12月)の年間収入にて算定しますが、就退職等のため年の中途で収入状況が変わっている場合等は、その時点からの1年間の収入(見込)とする場合があります。
※「年間生活所要額」とは下記の「年間生活基本額」と災害復旧経費や医療費の合計額です。


<年間生活基本額>
家族構成 居住地
和寒町 鷹栖町 旭川市
1人 1,860,493 1,911,753 2,135,513
2人 2,315,943 2,393,753 2,670,213
3人 2,772,333 2,876,713 3,206,043
4人 3,193,643 3,322,443 3,700,763
5人以上
1人増すごと
395,210 417,570 463,330

→家族に小・中・高等学校の生徒がいる場合は、上表の金額に次の金額が加算されます。(改正後の額に変更 H21.8.24)

  小学生 中学生 高等学校
1人あたり 110,320 184,810 207,584

→同一生計者の中に高等学校入学者がいる場合で、入学料や入学検定料を要した場合は、入学料(上限5,650円)及び入学検定料(上限2,200円)相当分が表の金額に加算されます。(「高等学校」には高等専門学校や特別支援学校高等部を含み、専攻科を除きます)